Journal — 2026.08.28
コーヒーで歯が着色する仕組みと、
白さを保つ4つの方法
毎日コーヒーを飲む人が一度は気にすることだと思います。先に結論を書くと、歯に色をつけているのはカフェインではありません。焙煎のときにできる色素です。仕組みが分かると、やめる以外の手が見えてきます。
着色の正体は、クロモゲンという色素
コーヒーには、クロモゲンと呼ばれる色の濃い成分が多く含まれています。タンニンやクロロゲン酸といったポリフェノール、それに焙煎の過程でできるメラノイジンも同じはたらきをします。歯科の研究では、これらが歯の変色に関わるとされています。カフェインには色がありません。
歯の表面には、色素がつかまる膜がある
歯の表面は、エナメル質がむき出しになっているわけではありません。だ液に含まれるタンパク質がうすい膜をつくっていて、これをペリクルと呼びます。歯を守るための膜ですが、同時に色素がくっつく足場にもなります。飲みものの色素は、エナメル質そのものではなく、まずこの膜に結びつきます。
紅茶や赤ワイン、カレーで色がつくのも同じ仕組みです。コーヒーが特に目立つのは、色素の量が多いからです。
もう1つの理由は、コーヒーが酸性であること
コーヒーは弱い酸性の飲みものです。酸に触れたエナメル質は、しばらくのあいだ表面がやわらかくなります。この状態のときに色素が来ると、より入りこみやすくなります。だ液がはたらいて元の硬さに戻るまで、だいたい30分ほどかかると言われています。
ここまでが仕組みです。ここから先は、飲むのをやめずにできることです。
1. ミルクを入れる
いちばん効くのがこれです。牛乳に含まれるカゼインというタンパク質が、色素と先に結びつきます。歯に届く前につかまえてしまうので、歯の表面につく量が減ります。
抜いた歯を使った試験管の実験では、牛乳やカゼインの液に浸した歯のほうが、着色がはっきり少なくなったと報告されています。コーヒーに牛乳を足した群が、いちばん着色が少なかったという結果もあります。もちろん、まったく色がつかなくなるわけではありません。
カフェオレやカフェラテは、味の好みで選ばれることが多い飲み方ですが、この点では理にかなっています。
2. 飲んだあとに、水で口をゆすぐ
残った色素と酸を流します。歯みがきのように時間はかかりませんし、外でもできます。水を1口飲むだけでも、何もしないよりは違います。
3. 磨くのは、30分たってから
意外に思われるところです。飲んだ直後は、酸でエナメル質がやわらかくなっています。そこをブラシでこすると、色を落とすどころか表面を削ってしまいます。削れた面はざらつくので、次からはかえって色がつきやすくなります。
飲んだらまず水でゆすいで、磨くのは30分あけてから。歯科では、酸性の飲みものに共通する注意として言われていることです。
4. だらだら飲まない
同じ1杯でも、2時間かけて少しずつ飲むと、口の中が酸性の時間だけ長くなります。仕事中にカップを置きっぱなしにする飲み方は、この点では不利です。飲む時間を区切って、そのあと水を飲むほうが、歯にとってはやさしいことになります。
アイスコーヒーをストローで飲むと、前歯に触れる量が減るとも言われています。ただし奥歯には触れるので、うがいの代わりにはなりません。
やらないほうがいいこと
- 飲んだ直後に、力を入れて磨く
- 研磨剤の強い歯みがき粉を、毎日つづけて使う
- 色がつくのを気にして、水分そのものを減らす
だ液が減ると、ペリクルの入れかわりも汚れの流れも悪くなります。色を気にするあまり口の中を乾かすのは、逆の方向です。
着色と、そうでないもの
ここまでの話は、表面につく色の話です。急に色が変わった、1本だけ濃い、冷たいものがしみる、といったときは、着色とは別のことが起きている可能性があります。その場合は歯科で見てもらってください。
出典について
この記事は、歯科分野で発表されている研究をもとに書いています。コーヒーのクロモゲンやタンニン、クロロゲン酸が歯の変色に関わること、それらが歯の表面のペリクルに結びつくこと、コーヒーの酸がエナメル質を一時的にやわらかくすること、牛乳のカゼインが色素と結びついて着色を減らしたこと(抜いた歯を使った試験管の実験)、酸性の飲みもののあとは時間をあけてから磨くこと。いずれも複数の報告で述べられている内容です。試験管の実験の結果が、そのまま毎日の口の中で同じだけ起きるとはかぎりません。
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